藤井聡太くんってどれくらいスゴイの? - 将棋好きのM君に聞いてみた:Day 2 [2/3]

M君からの二日目のメッセージは続きます。将棋AIとは、将棋を指す人にとってどのようなツールなのか?を解説してくれています。

(前提となる一つ前の記事 → Day 2 [1/3])

■ 将棋AIと「新手」

ここまで藤井五冠が強くなったのは、この読みの能力に加え、将棋AIの力は相当大きいです。我々も若い頃は記憶力が良かったように、10~20代前半は将棋も伸び盛りです。この時期に将棋AIを使うことで、異次元の強さを獲得しています。

将棋AI、私も使っていますが、何が便利かと言えば、その局面での候補手を10手ほど表示してくれるのです。

かつてプロ棋士は、新手を発見すれば、それだけで相当勝てました。升田九段が「新手一生」と言っていましたが、これは「新手を作れば棋士として一生飯が食える」と言う意味だったようです。

ド素人の私がこの「新手一生」を例えてみると、製薬会社がいい新薬を開発できたら、5〜10年間は独占販売による恩恵を得られる、みたいな感じでしょうか。(ただし、そのために製薬会社は、10年単位の時間と、売上高の2割のお金を、確実に結果が出る保証がない開発に注ぎ込むわけですが…)

逆に言えば、新手を見つけることは、それだけ大変なことなのです。何が大変かと言えば、新手に対してあらゆる応手を想定し、それにうまく対応できなければ勝てません。

「あらゆる応手を想定」できているか、と言うのは一人では大変難しい問題で、見落としている手もあるかもしれません。

プロ棋士が強いのは、無駄な手を読まず、有力な手を深く読めるからですが、無駄な手に見える有力な手を見落としてしまう可能性は十分にあって、将棋AIによってそういう手がたくさん発見されているのが今の状況です。

どんな作業の繰り返しも厭わずにやってくれるところが、計算機の強みですから。探す方法(アルゴリズム)だけ与えておけば、時間と電力の許す限り、人間が「こっちは無いわ」と思うようなところも、嫌がらずに探してくれるのでしょう。

この中から使えそうな手を研究して指せば良いのです。研究の相手も将棋AIがやってくれますから、一人で研究できてしまいます。

私の好きなマンガ「3月のライオン」の主人公:桐山零くんが、AIを使って研究するようなシーンはまだ出てきませんね。主に島田八段(作中キャラ)の研究会や、二階堂くんと一緒に研究しているみたいです。

桐山くんが、ディスプレイとにらめっこしているシーンもいずれ出てくるのでしょうか?

M君の話題は、この後さらに「今の将棋ソフトのトレンド」や、「藤井聡太くんの使っているPC」などへと展開していきます。

Day 2 [3/3]

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