最初の長文メッセージから10日ほどして、M君から続きのメッセージが届きました。この日のメッセージも「力作」でかなり長いので、3回に分けて紹介していきます
(前提となる一つ前の記事 → Day 1 後半)
M君からの返信: Day 2 [1/3] (2022/03/14)
2/12の王将戦第4局に勝利して、藤井さんは五冠になりました。この日の渡辺名人の感想がブログに載っています。
https://blog.goo.ne.jp/kishi-akira の2022-02-12に「いつも感想戦がエグい」とありますが、名人が感想戦で驚愕するほど読んでいるのです。
該当する渡辺名人のブログ記事はこちら↓です。
■ 「負け下」
渡辺名人としては、すでに自分が勝てる姿が想像できない状態です。そして、勝てないと苦手意識を持ってしまうと、本当に勝てなくなります。これを「負け下」と言います。
大山名人は番外戦術の達人だったのですが、若かりし加藤一二三に対し、すぐに勝てる将棋をわざと長引かせ、じわじわといたぶり続けることで、加藤一二三に苦手意識を植え付け「負け下」に追い込んだのです。
加藤一二三は神武以来の天才と言われ、並みいる強豪を打ち負かすのですが、大山名人にだけは異常に分が悪かったです。
「負け下」という言葉はこのM君のメッセージで初めて知ったのですが、感覚はよく分かります。私自身、5歳上の兄に対して、どんなゲームをやっても勝てる気がしません。
藤井七段は、最初豊島九段には分が悪く、棋聖のタイトルを持っているのに、対豊島戦は何と1勝6敗でした。みなさん不思議だと言われていましたが、これは子供の頃から豊島九段にこてんぱんに指導され、負け下になっていたからでしょう。
その後、負け下を克服し、昨年は豊島九段からのタイトル奪取となりましたね。
下記NHKのページで、この時の様子や他の棋士たちのコメントなどが、画像てんこ盛りで紹介されています。
■ 詰将棋
藤井五冠は小さい頃から天才少年でしたが、将棋ファンが驚いたのが小学6年生で詰将棋選手権でただ一人全問正解で優勝したことです。
この選手権には詰将棋を得意とするAクラスを含むプロ棋士もたくさん出場しており、それらを押しのけて小学生が優勝したのです。
この時の様子については、2015年の下記記事を見つけました。
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日経電子版 2015/4/25 詰将棋選手権、最年少V 藤井聡太二段 12歳
- 余談ですが、この記事で取り上げられているお母さんのコメントに、次のようなことも書いてありました。
- (藤井聡太くんは)同じ愛知県出身の豊島さんのファン
- 研究会でその豊島さんに教えてもらう機会があった
- その時の藤井くん談「負けました。(その時の豊島七段は)本気じゃなかったと思います」
- M君の書いていた「負け下」意識に繋がる端緒を垣間見たような…
- 余談ですが、この記事で取り上げられているお母さんのコメントに、次のようなことも書いてありました。
詰将棋を解く能力は、基礎体力のようなもので、先崎八段曰く、将棋はある程度強くなると、詰将棋をやるしか強くなれない、と言っているほどです。
その能力が小6にして全国1位なのです。
なるほどなるほど…。
Day 1で取り上げた「AI超え」の動画解説の中に、人間は直感によって候補手をいくつかに絞り込み、その中でどれが最善か?を論理的な「読み」によって評価/検証する、という話があったと思います。
詰将棋に秀でているといういことは、次の指し手を選ぶプロセスの後半の「読み」が、日本の誰にも負けないレベル、ということなのでしょう。
この日のメッセージは、まだまだ続きます。→ Day2 [2/3]へ
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